広告予算を巡る争奪戦

2007年11月20日

 メディアのデジタル化がもたらす構造変化のひとつに、評価指標の変化、つまり課金手法(ビジネスモデル)の変化があると、前回お話しました。もうひとつ、広告産業界を揺るがしつつある大きな変化があります。それは、グーグルが先鞭をつけたテクノロジー企業の本格参入です。マイクロソフトが、60億ドルもかけてアクウォンティブを買収したり、創業数年の学生ベンチャーである米国フェースブックの1.6%相当を、2億6,000ドルで取得したりする背景は、まさにここにあります。本取引をベースにしたフェースブックの企業価値は、なんと1.7兆円になります。

 従来の日本の広告会社にいる人間にとっては、こうした動きがいったい何を意味するのか、感覚的に分かりにくい部分もあると思います。米国で現在広告関連で最もホットなトピックは、ヤフー対グーグルではなく、マイクロソフト対グーグルの議論です。11月19日付けの日経ビジネスに、マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏のインタビュー記事が掲載されています。本記事から、マイクロソフトの広告ビジネスに賭ける本気度が、分かると思います。

 一方、日本の広告市場では、ヤフーの存在が強大です。例えば、ヤフーの前年度実績を、電通と比較すると、売上高こそ2,000億円強で電通の1/10程度ですが、営業利益は1,000億円強で電通の1.6倍です。時価総額は2.9兆円で、電通の3.6倍です。これには、年間売上成長率が22%増と、電通の7%弱を大きく上回っていることが寄与しています。

 こうした視点で、日本のヤフーの戦略を詳細に分析すると、日本の広告ビジネスの方向性が、ある程度透けてきます。ヤフーもグーグルもマイクロソフトもグローバルブランドなので、世界中同じようなポジショニングであるような気になりがちですが、実際には国によって大きく違っていることを、踏まえておくことが、重要です。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2007年11月20日 21:38 |パーマリンク