First Wednesday

2008年02月06日

 今日は、元電通副社長の百瀬伸夫氏が会長を務められている経営コンサルティング会社、岸・アンド・アソシエーツ社が主催するファースト・ウェンズデーという勉強会で、「親会社と系列会社の経営~電通のケース」というテーマで話をしてきました。この勉強会では、これまで日本国内に止まらず、世界各国の財界・学会のトップが講演者として登壇し、経営について語りあう、いわば上級のサロンです。また参加される方々も、財界・マスコミのトップの方々で、電通の役員を歴任された方々も参加されます。到底私に務まるレベルではないと思い、固辞させて頂こうと思いましたが、ぜひにということで、今日に至りました。私にとっては、米国大統領選のSuper Tuesdayの翌日の、思い出深いBig Wednesdayになりました。

 まず、現在起こっている広告業界の大変革についてお話しし、それを受けて、電通のグループ成長戦略について、そしてグループ経営の現状と課題について、話しました。私にとっても、業界の現状整理になりましたので、前半部分のみ簡単にご紹介しようと思います。

 マクロ視点から見た広告業界を取り巻く構造変化は、大きく3つあります。まずは「テクノロジーの進化」です。インターネット、携帯電話の普及・高速化は言うまでもありませんが、広告業界的には既存メディアのデジタル化が最も大きなインパクトでしょう。また、メディアスペースの調達や、システムやクリエーティブ開発が、理論上、世界規模で最適化できるようになったことが、挙げられます。
 
 2つめの変化は、「経済のグローバル化」です。通信システムの高度化、物流・交通システムのグローバル化により、貿易が活発化し、企業経営が急速にグローバル化しています。広告という、本来ドメスティックなものを取り扱う広告会社は、こうしたクライアント企業のグローバル化への対応に、これまで以上に追われることになるでしょう。

 3つめの変化は、言うまでもないことであり、同時に最も重要な変化とも言えますが、「個人の台頭」です。ブログ、SNS等のソーシャルメディアの台頭により、個人が簡単に世界に情報発信し、意見交換をすることができるようになりました。

 こうした環境変化を受けて、現在広告業界には現在3つの「広告離れ」が起きていると思います。1つめは、「消費者の広告離れ、広告不信」です。消費者は企業からの正式なメッセージに真剣に耳を傾けなくなってきました。それよりも彼らが信用するのは、友人からの推薦や、ブログでの評価、比較サイトでの情報になりました。検索サイトが急速に重要性を増してきた背景は、ここにもあります。

 次は、「企業の広告離れ」です。企業は新製品、新キャンペーンを伝達するためのリーチメディアとしてマスメディアを活用しますが、あくまでも必要な範囲内だけです。それ以外の予算は、広告効果が明確な施策にのみ、予算投下するようになってきています。広告販促活動が、予算消化から投資活動へと変化したためです。

 最後は、「広告ビジネスの広告会社離れ」です。昨今のマイクロソフト対グーグル戦に見られるように、広告収入を収益源とする企業が広告会社に止まらなくなりました。私のような、広告業界が長い人間からすると、いったい誰が競合で、誰が味方なのか、瞬時には分からなくなりました。

 こうした大変革の中で、広告会社の役割はどうなっていくのでしょうか。個人が情報発信し、広告在庫を取り扱うテクノロジーが普及し、企業のビジネスがグローバル化、オンライン化していく中で、広告会社は必要なくなるのでしょうか。私は、広告会社は今後も必要であると信じています。願っています。ただし、その役割は大きく変わらなければならないとも痛感しています。

 どう変わるべきか。そのヒントとなるキャンペーンとして、米国バーガーキングの大型ハンバーガー・ワッパー50周年キャンペーン「Whopper Freakout」を紹介します。グローバル化する企業のために、台頭する消費者にいかに響くメッセージを届けられるか、そして売上拡大に具体的に長期的に貢献できるか。ひとつの答えだと思います。私もワッパーが、無性に食べたくなりました。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年02月06日 23:46 |パーマリンク