広告会社のデジタル化について
先日、世界のエージェンシーの中で最も上手にデジタル化を遂げている会社はどこですか?との質問を受け、正直答えに窮してしまいました。当然のことながら、アベニューAレイザーフィッシュは、デジタルメディアに特化した新しいエージェンシーモデルを世界規模で構築しつつあります。また、デジタス、RGA、AKQAといったその他のインタラクティブエージェンシーと言われる企業も、それぞれ特徴を出しながら成長を遂げています。しかしながら、こうした企業は、元々デジタルを軸において成長してきた企業であり、マスメディアを中心に扱ってきた伝統的な広告会社がデジタル化した訳ではありません。
おそらく、伝統的なブランドエージェンシーの中で、デジタルメディアを最もうまく取り入れて、成功モデルを生み出しているのは、米国のクリスピン・ポーター&ボガスキー(CP&B)社でしょう。本ブログで以前紹介したバーガーキングのワッパー50周年キャンペーンは、彼らの制作です。その他には同じくバーガーキングのチキンキャンペーン(Subservient Chicken)がデジタル業界では有名です。彼らを最も有名にしたのは禁煙キャンペーン(truth)でしょう。その他には、MINI、フォルクスワーゲン、NIKE等のキャンペーンも手掛けています。最近ではマイクロソフトのアカウントを獲得しました。デジタル部門人員を大幅に拡大しているとも聞きました。しかし、彼らは伝統的なブランドエージェンシーといっても、クリエーティブとバイラルマーケティングに非常に強みを持つ、どちらかというとプラニングブティックに近い存在です。オフィスも米国と英国のみで、従業員数も1,000人に満たないと思われます。そういった意味では、ヤング&ルビカムやレオ・バーネット、日本でいえば電通や博報堂といったエージェンシーとは若干規模も内容も違うようです。結論としては、勃興するデジタルメディアに十分に対応し、事業モデルの変革を遂げた総合広告会社は、世界を見渡しても、まだ存在していないように感じます。
CP&Bについて検索している中で、面白いものを見つけました。当社のインターンシップを受け入れる際に、当社の企業ブランドや企業理念について語っている従業員ハンドブック(Crispin Porter + Bogusky Employee Handbook )です。彼らは自社のことを、最高のアイデアを生み出す工場(factory)だと言い切っています。全編を通して感じることは、最高のアイデアを生み出すために全力を尽くすプロフェッショナリズム、そしてそれを具現化するチームワークの重要性です。日本語の「sensei」というメンター制度のようなものも導入しているようで、部門間のコミュニケーションの円滑化に力を注いでいます。アイデアこそが、他のエージェンシーと比較して当社の競争優位点であり、またそうした優れたアイデアこそが、結果的には当社のクライアントが競合他社と勝ち抜くための競争優位点にならなければならないと結んでいます。広告会社は、アナログ時代からデジタル時代に変わっても、究極的には、メディア枠を売る会社でも、テクノロジーを売る会社でも、ないと思います。アイデアを売る、私も同感です。