Uniqlockの成功が意味するもの 2
IDCジャパンとフォレスタージャパンが開催したCMOカンファレンスに呼ばれ、昨日参加してきました。数時間のプログラムでしたが、「次世代マーケティングの必須条件 ~ エンゲージメント-顧客との深い関係を築くこと」というタイトルで、非常に内容の濃いカンファレンスでした。ユニクロの勝部さんも登壇され、「世界顧客創造のために方程式」というタイトルで、Uniqlockを初めとして、ユニクロの様々なデジタルマーケティング活動とその戦略について説明されていたので、ここで少し紹介します。
市場背景として、今後は企業も個人も「グローバル化」から逃れることは出来ず、あらゆる情報がどこからでも入手でき、それに伴い情報がフラット化し、実体経済も国境を越えてフラット化が進む。こうした状況下では、消費者間の情報を世界ベースで上手に管理するモデルが必要となる。彼はこれを、Buzz Chain Management Model と呼んでいました。Buzz Chainには、SNSやブログ等のCGM Media、店頭・サンプル・カタログ等のReal Media、そしてTVや新聞、雑誌等のPR Mediaの3つのメディアがあり、これらをうまく使って、消費者間のバズを生み出し、増幅させてしていくことが重要だとのことでした。ここで興味深い視点は、従来のアナログメディアやヤフー等のポータルをPR Mediaと位置付けている点です。これらのメディアを従来のマスメディアという視点で捉えてしまうと、非常にコスト高になってしまうので、あくまでもPRを増幅させるメディアという位置づけで活用しているとのことでした。NHK初め、昨今のユニクロに関する報道とその反響は、まさしくPR Mediaとしての成果の賜物ではないかと感じます。
そして、ユニクロのデジタルマーケティングの全体戦略は、「消費者は広告を見たくないものである」という前提で立案されているそうです。そのためには、広告を作って露出するというよりも、コンテンツと広告の中間的なものを発信していくことが重要である。そうしたものを発信するために、自社メディアを構築する必要があり、ユニクロのウェブサイトは自社メディアという位置付けである。企業自身がメディア化していくために重要なことは、コミュニケーション活動を、期間限定のキャンペーンと捉えず、中長期的な視点で全体を設計する必要がある、との説明でした。
また、Uniqlockのような高品質の動画を円滑に配信するためには、テクノロジーの視点も重要である。Uniqlockは、5秒時報と5秒動画の組み合わせですが、時報表示中に高品質の動画データを配信しているそうです。
上記は、彼のスピーチのほんのダイジェストに過ぎませんが、今後の広告業界にとって、いくつかの重要な示唆を含んでいると感じます。ソーシャルメディアの台頭、それに伴う消費者のメディア接触行動の変化、消費行動の変化は、止まることはないでしょう。今起こっているこれらの変化は、デジタル対アナログというような表層的なものではなく、非常にダイナミックで本質的な市場変化です。既存の広告業界が、どこまでこの変化に対応できるか、新しいソリューションを提供できるようになるか。大きな、大きな、挑戦です。